我々専門家がうっかり使ってしまう言葉に「発生主義と現金主義」という
専門用語があります。
これらの用語は、経理を行う際にどのように処理するかという考え方の区分です。
発生主義とは、収益や費用(売上や仕入経費)をお金の受け取り時点ではなく
収益や費用が発生した時点で認識するという考え方です。
現金主義とは、発生主義とは反対に収益や費用を現金の受払の際に認識する
という考え方です。
売上も仕入も経費もすべて現金でやり取りしているというビジネスであれば
どちらの考え方を採用しても同じ結果になります。
しかし、信用取引が多く行われる現代のビジネスでは、現金主義によるか
発生主義によるかで利益の金額が大きく変わります。
会計学などの学問の世界では、これらの違いについて記載していけば
本が一冊書けるほどの内容になります。
会計的に正しいのは、現金主義ではなく発生主義となります。
その方が期間損益計算が適切に行われるからです。
学問の世界での発生主義というのは、「その発生した期間に正しく割当てられる
ように処理しなければならない」と規定されています。
しかし、実務の世界では単純に、発生主義といえば物販なら納品時(出荷時)に、
サービスならサービス提供時に売上や仕入・経費を計上することをいうことが多いです。
また、現金主義といえばお金をもらった時に収益を計上し、お金を払った時に
費用を計上することをいいます。
ここでいう「実務の世界」というのは、税金の計算のために決算を行う
場合の決算書作成ルールをいいます。
実務の世界でどのようにこれらの考え方が用いられているかについては
改めて述べさせていただきます。