株主と社長が同一人物である会社の場合、よくも悪くも会社の資産と個人の資産の
区別があいまいになります。
そのような会社では、社長の個人資産は、いざとなれば会社につぎ込むことを
想定しなければなりません。
「個人資産」とは、具体的には社長が役員報酬として会社からとったお金のことです。
もちろん社長の生活費に使う部分もあります。
しかし、会社でお金が足りない場合は個人の貯金を取り崩して会社の運転資金に
する場合もあります。
そのようにして会社に入れた資金は、会社の資金ができたときには社長個人に
返済してもらうことになります。
もしも会社がうまくいかなかった場合は、そのお金が返ってこない可能性もあります。
このように、いざとなったら個人資産を会社につぎ込むというリスクをとっているわけ
ですから、社長の役員報酬は高くて当然ということになります。
近年の税制では、個人にかかる所得税の税率が高くなり、給与所得控除が縮小
されるなど、個人でたくさん役員報酬をとることが有利とはいえなくなりつつあります。
また、法人税の税率は低くなっており、また将来も引き下げを行う傾向にあります。
この状況では、個人に会社の儲けを移すよりも会社に残しておくことが有利になる
ので、今後は社長の個人資産を会社に入れるということが少なくなるかもしれません。
しかし、いざというときの備えは、会社にも会社の外(社長個人資産のかたちで)にも
しておくことで、経営基盤の強化にはなります。