枚方市の税理士三木博人です。
個人事業者の「現金」の処理について、前回と前々回とその前でまとめてみました。
「現金」をどのように管理するか、という点からまとめております。
ここで強調しなければならないのは、「現金」と言っているのは「事業用の現金」のこと
であるという点です。
事業用の現金については、増減すれば記帳(会計ソフトに入力する)の対象となります。
プライベートの現金(事業主の方の生活用資金)は、いくら増減しても記録の対象となりません。
記録されるのは、事業用の資金を生活用に引き出した場合と生活用資金を事業用にした場合だけです。
生活用にいくらお金を使っても、事業用の記録には反映されません。
生活用の現金と事業用の現金は、このような点から区別する必要があるのです。
例えば、コンビニで事業に必要な買い物をした場合、支払手段は「現金」である場合が
ほとんどです。(たまにカード払いということもありますが)
この「現金」が事業用であれば、仕訳の右側が「現金」という勘定科目になります。
生活用の現金から支払ったのであれば、個人事業主であれば「事業主借」という
勘定科目を使うことになります。
「事業主借」という科目は、個人事業主が生活用の資金などを事業用に移動させた
場合に使用するものです。
生活用のお金を事業で使った場合にも、事業主借という科目を使いますが生活用の
資産(自動車など)を事業用に転用する場合も「事業主借」という科目を使用します。
このように、単純に「現金で支払った」というだけの情報では正しい処理ができません。
その現金が生活用か事業用かという区分が必要になります。
なお、このことは会社の場合でも同様です。
「会社の現金」か「社長個人の現金」かで処理科目が異なります。
「会社の現金」であれば、「現金」という勘定科目を使いますが、「社長の現金」であれば
「役員借入金」という勘定科目になります。
現金の色分けは難しいと思われますが、正しく処理するためにはこれらの区別が必要です。
ただし、現実的にはこの区分をせずに処理をする方法を次回申し上げます。