枚方市の税理士三木博人です。
前回は、記帳を遅れずに行うことで、自分の商売の「仮説と検証」を行うことが可能に
なるということを書きました。
記帳を遅れずに行うことで、いくら儲かっているかをタイムリーに把握することができます。
そうすると、このまま推移するとどれくらい税金がかかりそうか、ということも
わかるようになります。
税金がいくらかかりそうかがわかれば、節税の対策を打つことも可能です。
節税の中には、期間が過ぎてからであればどうしようもないものもあります。
個人事業者の方は、1月から12月までの期間で収支を集計して、所得を計算します。
その所得に対して所得税や住民税がかかります。
12月までに所得がいくらになるかを把握しておくことで、節税対策の選択肢が
多くなります。
本来翌年1月以降に実施しようとしていた広告宣伝を前倒しする、オフィスの修繕を
前倒しで行う(大規模な修繕だと効果があまりない場合もあります)など、翌年の
経費を前倒しで支出することは有効です。
「経費を今年計上しても、翌年計上しても、同じ金額なら影響は同じでは?」という
疑問があるかもしれませんが、個人の所得税は所得金額が大きければ高い税率が
適用されます。
税率が高い年に費用を計上した場合、抑えることができる税金も多くなります。
反対にあまりもうかっていない年に費用を計上した場合は、抑える税金が少なくなります。
今年が儲かっていて、来年の業績が不透明であるのであれば、今年計上できる費用を
前倒しするということを考えるべきです。
これが最も確実で無駄のない節税です。
自分の商売の仮説と検証を行い、業績もタイムリーに把握することで、さらに節税の
選択肢を広げることができます。
「本業よりも節税が大好き」という節税マニアの方々には物足りないかもしれませんが、
本来「節税」の優先順位は本業よりも下のはずです。
節税は必要ですが、不必要な支出をしてまで行うものではありません。
前倒しできる経費がないのであれば余計な買い物をせずに、税金を払う方が結果的にお金は残ります。
儲かったときほど冷静になりましょう。