枚方市の税理士三木博人です。
前回は、貸借対照表の右側について述べました。
中小零細企業の貸借対照表では、負債が多い場合、金融機関などからの借入が
多いケースと役員借入が多いケースがあります。
これらのうち、役員借入が多いケースは表面的には、よい・悪いという判断ができません。
考えられるのは、役員報酬を取りすぎている、という場合です。
今から15年以上前は、会社の税金(法人税、住民税、事業税)の税率が高かったので
会社で税金を払うのであれば、たくさん役員報酬を取って、個人で税金を払う方が
トータルの税金が低くなる、ということがありました。
しかし、現在では、会社の税率は下がり、個人の税率は上がっているので、かつてのように
「取れるだけ役員報酬を取る」ということは合理的でなくなりました。
この場合、役員報酬をたくさん取っているので、資金源がわかるので問題ありません。
(「節税」の観点からは現在では適切な方策ではないと考えられますが)
しかし、役員借入が多額にあるのに資金源がはっきりしていない場合は注意が必要です。
役員報酬の水準を考えるとはるかに多額の役員借入がある場合、その役員借入のお金は
どのように調達してきたか、ということ疑問が出てきます。
その資金源は会社の売上を除外して作ったお金である場合も考えられます。
役員借入金が役員の報酬などに比べて多額である場合は、このように脱税(売上除外)
が疑われることもあるので注意が必要です。
(もちろんそうでなくて他に理由がある、ということであればよいのですが)
税務調査で売上の除外が発覚すると、重いペナルティが課せられます。