枚方市の税理士三木博人です。
試算表などで現金残高がマイナスになっているものをみかけることがあります。
現金がマイナスになることはありえません。
売掛金がマイナスになることは稀にあります。
請求金額に対して、入金が多かった場合など、一時的にマイナスになります。
売掛金のように形があるわけではなく、権利(請求権)の場合にはこのようなことが
起こり得ます。(その後正しい形に修正しなければなりませんが)
しかし、現金については形のあるものなので、手元にある分以上に
支払うことはできません。
ところが結果としてマイナス残高になることがあるのです。
簿記の仕訳の復習になりますが、現金を支払った場合は右側が現金という
勘定科目になります。
しかし「現金を支払った場合」というのは、「会社の」現金を支払った場合
のことを指します。
「会社の」現金でない現金(従業員や社長が立て替えたもの)を支払った場合には
簿記の仕訳としては「現金」を使うのは間違いです。
私は常々、日商簿記3級の知識があれば仕訳はできると考えていますが、
このようなケースには対応できません。
支払手段が現金だから、という理由で勘定科目を「現金」にするのは誤りです。
正しくは「未払金」か「借入金」とするのがよいでしょう。
「未払金」の場合は、従業員が立て替え払いした経費を精算するまでの科目です。
精算するまでは、会社からみると従業員に対して債務がある状態です。
「借入金」の場合は、社長借入のイメージです。
中小零細企業では、社長のお金と会社のお金の区分があいまいです。
「会社のお金」の残高をきっちり管理している会社であれば、「会社のお金」で
支払った場合は、「現金」で処理しても問題ありません。
しかし、社長のお金か会社のお金かよくわからない場合は、会社のお金はゼロで
社長が立て替え払いをしているという処理にしたほうがすっきりします。