平成26年度税制改正大綱には税理士制度の見直しの中で「租税教育への取組の推進」という項が設けられています。
税理士会及び日本税理士会連合会への会則に記載すべき事項に、租税に関する教育その他知識の普及及び啓発活動に関する規定を加えることとなります。
従来からも小学生や中学生に租税教育などを実施しているのですが、より明確になるということでしょうか。
小学生や中学生への教育も大事なのですが、ある程度世の中が見えてきた社会人に対しての租税教育も大事だと思います。
ここでは、「税金によって世の中が成り立っている」というお話ではありません。
大人の人(経営者だけではなくサラリーマンの人を含めて)と話をしていると
「税金を払うことをできるだけ避けたい」
「税金をたくさん払うのはばかばかしい」
などという考えに支配されている人が多い気がします。
必要以上の税金を払う必要はまったくありませんが、税金を払うことをネガティブに考えすぎていないかということを感じる時があります。
「税金はコストであるので、なるべく支払いを小さくすべきである」
「税金は見返りのないコストなので、支払うことにメリットはない」
などの意見があることは重々承知しています。
しかし、税金を払いたくないがために、言い換えれば「節税」のために不必要な支出をしていませんか?
税金を払うことを避けたいがために、「節税のために税金以上のお金を払う」といった行動をとってしまう人がいるのです。
個々の節税商品や節税スキームを批判するつもりは毛頭ありません。
ただし、もうけに対してかけられる税金を節税しようとすれば、もうけを打ち消すだけの「損」を買わなければなりません。
1億円の利益は1億円の損失計上、言い換えれば1億円の支出でなければ消すことができないのです。
この場合に、このような支出がビジネス上必要な支出であるといえますか?
普段ものを買うのと同じ判断基準で判断できますか?
そのような判断を冷静にできるようになるには、税金の支払いを特別なものと考えるのではなく、もっともお金が残るような支出の方法を探るほうがよいのではないかと思います。
税金の支払いを特別なものと考えずに、あるときは戦略的に税金を支払うということができるほうが、案外お金が残るのではないかと思います。