枚方市の税理士三木博人です。
前回は、役員給与の概要と問題点について述べました。
定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与のいずれかに該当しなければ
損金にならない、ということでした。
事前に決めた役員報酬を期の途中で変更することが基本的に難しいといえます。
なぜ、事前に決めた金額を変更できないのでしょうか?
会社で利益が出たからといって、役員報酬を増額すると利益調整ができてしまう
から、といわれています。
会社の利益を消すために役員報酬を増額すると、会社から税金を
取ることができません。
だから問題である、規制の対象であるというロジックです。
しかし、本当にそうでしょうか?
会社が支払った役員報酬は、受け取った個人で給与所得として課税されます。
給与所得は「給与収入-給与所得控除額」で算出されます。
以前であれば、給与所得控除額は給与収入に応じて一定割合で増加するという
計算方法でしたが、現在では上限が決められています。
現在の上限は、年間で245万円ですが、平成28年には230万円、平成29年以降は
220万円に縮小される予定です。
給与所得控除額に上限が設けられるので、従来のような会社と個人の経費の二重取り
という問題も解消されつつあります。
同族会社であれば、個人で税金を払うか、会社で税金を払うか、という厳密な
区分はあまり意味をなさないと思われます。
「会社の利益調整」という側面ばかりに着目すると、現状のような税制に
なりますが、役員が頑張って利益を出してもその分を役員報酬という形で
還元することができない、というのも不自然です。
頑張った分だけ報われる、ということができない税制となっています。