決算書を作るというのは会計に関する業務です。
税務申告書を作成するというのは税務に関する業務です。
本来これらの業務は別々のものです。
会計は何のために行うかというと株主や債権者(お金を貸してくれた人)に対して
自社の財務内容を報告するためです。
税務は税金をいくら払うかということを決めるために行うものです。
会計の世界では、自社でどのように考えたかということが重要になります。
特に近年の会計のルールでは、将来の見積もりという要素が色濃く反映されています。
税効果会計、退職給付会計、債権債務の評価など、見積もりということが求められます。
さらに、自社がどのような根拠に基づいてどのような見積もりを行ったかということも
開示することになります。
また会計は、自社が今どのような状況にあり、どのような打ち手を講じれば
よいかということを考える際の参考資料を提供してくれます。
ただし、会計を経営の役に立つ資料にしようとすると厳格にルールを適用する
必要があります。
上記で述べたような見積もりの要素に恣意性が入らないことが前提です。
税務の世界では、自社の考えは排除されます。
税金計算ルールにおいては、公平であることが重要になります。
公平を求めるがために、見積もりの要素が介入する余地がありません。
例えば、自動車を買ってきて何年乗ろうと考えるかは人によってさまざまです。
10年は使いたいと考える人や3年で乗り換えることを前提にしている人など。
何年使うかが人によってバラつきがあるのでは公平ではなくなるので、
税法では一律で耐用年数というものが決められています。
会計と税務では、目的が異なるので、ベースとなる考え方が違います。
この「違い」や「違うことによる問題点」などについては別稿に改めます。