前回は意思決定の速さがあれば、規模の大きな会社よりも効率のよい経営を
できるということを述べました。
意思決定の速さを担保するのは、株主=経営者である必要があります。
経営者である社長と株主が別の人物である場合は、株主によって
社長をクビにすることができます。
つまり、重要な意思決定事項であれば株主の意向がどのようなもので
あるかを確認しておく必要があります。
ここで、株主と社長で意見が対立すれば、社長がクビになるのです。
このような意思決定の制約があるということは、「小回りが利く」という
点では重大な欠点になります。
小さな組織であるということのメリットを活かすことができません。
会社が何十年も存続して、株主が創業者の子供や孫の代になると株主が
たくさんになります。
子供の代であれば兄弟が株主になり、孫の代であればいとこが株主になります。
また、子供に社長の座を譲っても大株主として経営に関与する創業者もありますが、
このようなケースでも株主と経営者が異なるケースになります。
このように身内同士であっても、株主と経営者との対立が起こるケースがあります。
会社を設立する際には、兄弟で株主になるということはできるだけ避けたほうが
よいと思われます。
また、株式を相続する場合も複数の子に相続させるのではなく、事業を引き継ぐ
子に集中させるようにしたほうがよいでしょう。
その場合、他の子が納得するように他の財産を用意しておく必要があります。
事業を円滑に承継させるためには、このような手間をかける必要があります。