社長が会社のお金を引き出すと、会社は社長への「貸付金」として処理します。
過去に社長が会社にお金を貸していた場合(会社から見ると「借入金」です。)は、
借入金の返済ということになります。
しかし、借入金の金額を超えて引き出して私的に使っていると社長への
「貸付金」となります。
社長としては「自分の会社」なのに、お金を引き出して何が悪い?と思いがち
ですが、会社のお金は社長のお金ではないのです。
もちろん過去に会社に貸したお金を返してもらうということは問題のない取引です。
しかし、過去に会社に貸したお金を超えて会社からお金を引き出すと今度は
社長が会社からお金を借りている、会社は社長にお金を貸している状態になります。
この会社が社長にお金を貸している状態であると問題が起こります。
「認定利息」というものを計上する必要があるかもしれないからです。
会社に税務調査が入って、社長に対する貸付金が多額にあって、しかも会社が
利息を計上していない場合、会社で受取利息の計上を求められます。
これを認定利息といいます。
認定される金額が少額であれば、認定されないのですが、社長への貸付金
の残高が長期間にわたり多額に計上されている場合は、税務調査で指摘
される可能性が高くなります。
調査で指摘されないようにするには、社長への貸付金があれば決算で利息を
計上しておく必要があります。
利率は、
①借入金があるときは、借入金利(複数あるときは平均したもの)
②借入金がないときは、年利1.9%(平成26年)
となります。
貸付の状態が一時的な場合や、残高が少額であれば計上の必要はありません。
(「少額」かどうかは相対的に判断します)
利息を計上すると、利益が増加しますので、法人税は増加します。
社長は、会社に貸付金に相当する金額を返済しなければなりませんが利息を
計上すると、その利息分も返済しなければならなくなります。
会社から見て「社長から借入」という状態のときは、利息の計上は必要ありませんが
「社長に貸付」の場合は、利息を計上するという問題が発生するので注意が必要です。
また、多額に貸付金が計上されている貸借対照表は、銀行で融資を受けている場合、
運転資金や設備投資など、当初の目的に使われていないため、融資の返済を求め
られることもあるので、この点からも注意が必要です。