枚方市の税理士三木博人です。
個人事業の場合、複式簿記で記帳をすると「事業主貸」と「事業主借」という科目を
使用することがあります。
会計ソフトなどで記帳する場合でも、これらの科目が出てきます。
また、所得税の確定申告書に添付する「決算書」の貸借対照表にもこの表現が
出てきます。
しかし、日商簿記3級などの教科書をみても、このような勘定科目が出てきません。
これらの勘定科目を理解するには、所得税の事業所得(不動産所得を計算する場合
には不動産所得)の計算ルールを理解しなければなりません。
「事業主」を理解するには、計算ルールの中でも特に「必要経費になるか」
「収入になるか」という点をおさえる必要があります。
そのルールをおさえたうえで、
事業主貸・・・お金を払ったけど今も将来も必要経費にできないもの
事業主借・・・お金が入ったけど今も将来も収入にならないもの
という分類でよいと思います。
代表的な事業主貸となるものは、生活費、事業と関係のない支出などです。
事業主借は、事業用の預金についている受取利息です。
また、事業用の資金が足りないので生活用資金を事業用資金に移した場合は
事業用のお金が増えていますが収入ではないので事業主借になります。
反対に事業用資金がダブついているので事業用資金を個人用に移した場合には、
事業用資金が減っていますが経費ではないので事業主貸です。
基本的な使い方は上記のようになります。
イレギュラーなものもありますが、基本をおさえて記帳することをお勧めします。
日商簿記3級は個人事業者の処理を対象としますが、事業主勘定を使わずに
「資本金」「引出金」という科目を使います。