枚方市の税理士三木博人です。
前回は固定費の増加に注意を向けるというお話をしました。
どの経費が固定費なのでしょうか?
当然ですが、業種によって異なります。
教科書的な定義はあまり意味を持たないことが多いです。
また経営者の方が感覚的に把握できるものであることが望ましいと思われます。
そのように考えると固定費は「変動費以外のもの」という割り切り方でよいのでは
ないでしょうか?
実務の世界では、厳密な分類をしてもあまり意味がありません。
例えば、携帯電話の料金(通信費)は基本料金は固定費で通話料(通話時間に応じて
増加する部分)は変動費になると考えられます。
定義上そうであっても、会計データを基本料金と通話料で別々に入力していなければ
分類は不可能です。
このようなレベルで会計データを作るのであれば厳密な分類は可能でしょうが、
実務上はかな難しいでしょう。
ここで「変動費」は、「何もしなければゼロ」になる経費というイメージで結構かと思います。
仕入、外注費、商品の発送費用など、売上がゼロになったら支払いもゼロになるものを
変動費としてみてはいかがでしょうか。
それ以外は固定費という分類で、それが毎月いくらかかり、年間でいくらかかるかという
ことを把握してみましょう。
当然月ごとに出ていく金額は異なります。
自動車税や固定資産税の支払や保険料の支払などイレギュラーなものを年額で把握し、
毎月かかるものがどれくらいか計算してみましょう。
そして、毎月の固定費はおよそこれくらいで、月によって増加する分がいくらある、という
ことで年間の固定費を見積もることができます。
科目ごとの厳密な区分や最小二乗法を使った分類なども、精緻な数字の把握という
意味では優れていますが、中小零細企業の現実としては、そのような厳密な分類
ではなく、ある程度の分類で推移を把握するということのほうが重要であると考えられます。