枚方市の税理士三木博人です。
前回は貸借対照表の左側(資産)が「無理な黒字化」(=粉飾決算)によって
水膨れするということを述べました。
このように、貸借対照表に計上されているものが実在するか、また計上している金額が
正しいか、ということを検証することで粉飾決算しているかどうかを検証することができます。
過去にこのようなことがあった場合、水膨れを修正しようとすると資産を正しい金額に減
額する必要があります。
資産を減額すると損益計算書で経費や損失という利益に対するマイナスを計上する
ことになります。
つまり、過去に計上した利益(粉飾決算で計上したもの)を取り消す処理が入ることで、
利益も損失もなかったことになります。
損失を計上できる余力がなければ、このような修正は先送りをされます。
損益計算書の利益というのは、このような操作で利益を計上できたり、損失を
計上できたりということができます。
厳密には、会計処理にはルールがあるので、それに従えば「自由度」は低くなりますが、
それでも会計処理の選び方で利益が変わることはよくあります。
このように損益計算書の利益は、経営者の考え方を反映しているといわれます。
中小零細企業では、会計のルールを厳格に適用しなくても問題ないことが多いので
利益を出すために大胆な(!)処理を行うことがあります。
利益を出さない方向の処理については、税務調査で問題になるため、あまり
大胆に行われません。
これが中小零細企業の現実ですが、このような処理をしていても会社の実際の
業績がよくなるわけではありません。
粉飾決算をしても、お金が湧いてくるわけでもありません。
(融資が受けられるということがあるかもしれませんが)
会社の業績を測定できる決算書を作成して、経営の打ち手を講じるための判断資料
にする、というのが正しい決算書の利用方法であると私は考えています。