枚方市の税理士三木博人です。
お金がないのに利益が出ている、ということがよくあります。
売上がすべて現金、仕入もすべて現金、経費の支払もすべて現金、というスタイル
であれば、「損益計算書の利益=お金が増えた分」ということがわかります。
しかし、このような商売はあまりありません。
お金をもらっていないのに収益(売上)になることや、お金を払ったのに経費にならない
ことがあると、損益計算書上で利益が出ていてもお金が増えたことにはなりません。
お金をもらっていないのに売上を計上するケースはよくあります。
代金後払いで販売するということは日常的に行われます。
特に、事業者同士で取引をする場合は、多くが代金後払いです。
しかし、売上は出荷時、納品時などお金が入ってくるよりもはるかに早いタイミングで
計上しなければなりません。
お金を払ったのに経費にならないケースもよくあります。
商品を仕入れた場合、仕入代金の支払が終わっていても、利益を計算するうえでは
仕入れた商品が売れるまでは経費(売上原価)にはなりません。
商品を仕入れるという商売以外でもこの「売れるまで経費にならない」という
ロジックが適用されます。(売れなかったものを捨てた場合は経費になります)
システム開発をする会社では、開発にかかわった人の人件費なども売れるまでは「在庫」
扱いになり、システムが完成して引渡があったタイミングで在庫から売上原価になります。
建設業などの工事についても同様に、工事にかかった材料費、人件費、外注費など
をいったん在庫としてプールして、完成引渡があったタイミングで売上原価になります。
他にもお金を払ったのに経費にならないケースとして、借入金の元金部分があります。
借入の返済については、利息と元金を合わせて返済しますが、元金部分は
経費にはなりません。
また、事務所やお店を借りる時に支払った保証金も経費にはなりません。
このような要素がたくさんあると、お金がないのに利益が出ているということが起こります。
この場合、お金の管理(資金繰り)と利益の管理(いくらくらい儲かって、どれだけ
税金の支払がありそうか)の両方が必要になります。