三木博人税理士事務所
大阪府枚方市大垣内町2-8-8 マイティビル5階

HOME > 三木博人オフィシャルブログ > システム開発や工事の「在庫」に気を付けよう

三木博人オフィシャルブログ

システム開発や工事の「在庫」に気を付けよう

2015年6月29日

枚方市の税理士三木博人です。

システム開発などを行う会社には一般的に「商品在庫」はありません。

モノを仕入れて販売するという形態ではなく、人件費などをかけて発注されたものを
作り上げていくというイメージです。

その際には、材料などもほとんどかかりません。

作業をする人たちの人件費や下請けなどに出した場合の外注費(外注先でも内訳は
人件費が多くなります)がコストの多くを占めます。

これらは「人件費」として処理しがちですが、請負契約(システム開発や工事などは
請負契約である場合が多いです)の場合の原価については、次のような通達があります。

—–
法人税法基本通達2-2-5(請負収益に対応する原価の額)

請負による収益に対応する原価の額には、その請負の目的となった物の完成又は
役務の履行のために要した材料費、労務費、外注費及び経費の額の
合計額のほか、
その受注又は引渡しをするために直接要した全ての費用の額が
含まれることに留意する。
—–

ここでいう「原価」とは、お金を払ったのに費用にできず、一時的に資産に計上して

売上を計上したタイミングで費用にするものをいいます。

通常の経費であれば、支払ったタイミングで費用になりますが、原価の場合は
売れるまで費用にできないという点が異なります。

この点で、商品在庫と同じような考え方を採ります。

商品在庫も仕入れたタイミングではなく、売れたタイミングで費用計上されます。

税金計算する際に、支払ったタイミングで費用にしていた場合、費用が過大になり
利益が少なく計上されます。

利益にかかる法人税などが少なくなるので、税務調査などでこの処理が発覚した
場合は修正が求められます。

対策としては、契約ごとに原価を把握し、費用勘定ではなく資産勘定にそれらを
計上していきます。

売上が計上されたタイミング(請負の完了のタイミングです)で資産勘定に計上した
それらを売上原価に振り替えるようにします。

この場合、人件費などが在庫に計上されるような感じですが、収益と費用を対応させる
という点からも、税金の計算の点からも、いずれにおいても適正な処理です。

枚方市の税理士 三木博人税理士事務所(大阪府枚方市)