枚方市の税理士三木博人です。
前回まででは、利益が出た場合には、お金を支払わなければその利益を消すことが
できない、ということを申し上げました。
しかし、お金を残して利益を消す方法と認識されているものに「バックリベート」
「裏リベート」というものがあります。
「500万円外注費を払うから、400万円を現金でバックしてくれ」というものです。
(バックする金額の割合はいろいろだと思いますが)
これは一見するとお金が出ていくことなく、支払う税金を低く抑える「夢の節税スキーム」
のようですが、税務的にはかなり問題のある取引です。
外注費を支払った法人で500万円の経費を計上したとします。
しかし、バックしてもらった400万円については個人が受け取るため、個人で
申告をする必要があります。
事業所得?雑所得?贈与税?、いずれにしても個人で申告するので、会社で払う
税金が少なくなっても、本来は個人で払う税金が増えます。
バックを受けたお金を申告しない、ということになると「脱税」になります。
ただし、多くのケースでは、申告しないことを前提に内密に行われます。
(「バック」や「裏」というのはこっそりと行うということです)
会社で外注費などの支払いをして、個人的に現金を受け取るということなので
会社はお金を支払うばかりになります。
そうすると会社でお金が足りなくなり、個人にはお金がたくさん残ります。
しかし「裏」で収入したお金を会社に貸し付ける(会社からみると「役員借入金」)ということ
を繰り返していると、収入などから考えると不自然なくらい多額の貸付が行われます。
以前に多額の役員借入があると脱税を疑われる、ということを申し上げましたが、
このケースでも同様です。
バックリベートで得たお金で派手な生活をしていると「収入に合わない生活」
ということで不自然な感じがします。
また、購買担当者などが個人的に業者に対してバックリベートを要求することも
ありますが、これは「脱税」というよりは個人的な横領の意味合いが強くなります。
この場合は、社内で厳しい処分を受けることになります。
バックリベートを要求するということはこのようなリスクがあります。