枚方市の税理士三木博人です。
「役員報酬の経費の二重取り」という言葉がありますが、どういう意味なのでしょうか?
これは、同族会社など会社と社長の境界線があいまいな中小零細企業など
発生する問題です。
会社で役員報酬を支払う(会社で費用を計上する)、個人は役員報酬が給与所得の
収入金額となりますが、税金がかかる給与所得は収入から給与所得控除額を
差し引いたものになります。
給与所得控除額を控除して個人所得税を計算する、ということになると会社と
個人で通算して役員報酬と給与所得控除額の両方を控除できる
ということになります。
本来の給与所得控除額は、サラリーマンなどの給与所得者の概算経費です。
サラリーマンであっても、通勤用のスーツやかばんなどが必要です。
(通勤のための電車代などは会社が用意してくれることが多いですが。)
そのような費用を実額(実際に支出した金額)ではなく、一律で給与収入に応じて
算定します。
この一律の給与所得控除額の2分の1を超えるくらいの支出があった場合には
「特定支出控除」として実際にかかった金額を給与収入から控除してもらうことも
できます。
しかし同族会社などであれば、会社で必要な経費は会社で計上されていることが
多いです。
必要な経費や役員報酬を会社で費用計上して、なおかつ個人段階で給与所得控除を
することを会社と個人で経費計上するという意味で「経費の二重取り」といいます。
これは合法的に認められている方法ですが、給与所得控除が年々縮小されているため
節税効果は少なくなっています。