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税抜経理のメリットとは?

2014年1月17日

消費税をどのように経理処理するかをみていますが、今回は税抜経理のメリットとデメリットです。

☆税抜経理のメリット

1.納税額の読みが容易になる
2.消費税の影響を決算数値から排除できる
3.法人税などの計算上有利になる場合がある

1.については、貸借対照表の仮受消費税から仮払消費税を差引して、中間納付があればそれも差引した金額がおおよその納税額になります。
ただし、この前提が通用するのは、売上(収入)がほとんど「消費税のかかる収入」で構成されている必要があります。

例えば、次のような場合は容易な計算ができません。
・土地と建物を販売する場合(土地の売上は「消費税のかからない収入=非課税売上といいます)」です)
・不動産賃貸収入のうちに住宅貸付がある場合
・医者(社会保険診療報酬は非課税売上です)

簡易課税の場合でも「仮受消費税‐仮払消費税」では算出できません。別途計算が必要になります。

2.については、上記1と関連していますが、消費税の計算が終わらなくても決算数値の概要を把握することができます。
税込経理では、消費税の納税額は、費用に計上します。
ということは、消費税の納税額が確定しないと利益額を把握できないことになります。
しかし、税抜経理をしていれば、損益計算書への影響はありません。

3.については、例えば30万円未満の固定資産を購入した場合は一回で費用に計上できる(減価償却しなくてよい)という特例があります。(税込経理のデメリットでも述べました)
この金額基準については、税込・税抜を問わず30万円です。
本体価格29万円、消費税込で30万4,500円という固定資産を購入した場合でみてみます。
税込経理であれば、30万円を超えてしまうので、この資産は減価償却資産となり、法定耐用年数に従って償却することになります。
しかし、税抜経理であれば、29万円となり30万円未満ですので、一回で経費にできます。

また、3万円未満の領収書には印紙を貼らなくてもよいのですが(平成26年4月1日からは5万円未満になります)、この3万円や5万円という金額の判定も税込・税抜を問わないのです。
本体価格29,800円の売上であれば、税込経理の場合は印紙を貼る必要があります(税込31,290円)が、税抜経理なら貼らなくてよいということになります。

★税抜経理のデメリット

1.めんどくさい
2.税率の変更があった場合、会計ソフトの更新の必要がある
3.売上高が税込経理に比べると小さく見える

1.については、言うまでもありません。
手書きの帳簿であれば、取引ごとに消費税がかかるかかからないかを判断して消費税を抜く(5/105部分を仮払消費税にする)ということをしなければなりません。

2.については、今から1、2年の間は問題になりそうです。
平成26年4月から消費税率が8%になることは確定しましたが、10%になる時期は決まっていません。
税率が変更した際に会計ソフトの税率変更が無償で行われるかどうかは確認しておかなければなりません。

3.については、当たり前ですが、消費税分が売上ではなくなるため売上高は税込経理よりも少なく計上されます。
この影響は、たとえば消費税率が10%になったらもっと大きくなります。
利益には影響ないのですが、たとえば自社のホームページなどに「年商○○億円」などと記載する際に、消費税込か抜かなど気にする人はいませんから、消費税込で記載したほうが大きく見えます。

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