枚方市の税理士三木博人です。
なぜ損益計算書だけではなく、貸借対照表も重要なのでしょうか?
損益計算書が重要でないわけではありません。
例えば、モノを販売したとします。
モノを納品した時点で売上高は計上されます。
損益計算書では利益が計上されます。
この取引だけであれば会社は黒字です。
しかし、この売上が掛取引だったらどうなるでしょうか?
売上の計上時点では未入金です。
貸借対照表では、現金売上であれば現金預金が増加しますが
掛取引であれば売掛金が増加します。
売掛金は、入金がなければ売掛金のままです。
損益計算書上では売上が計上されるのみですが、売掛金が増加したのか、
現金預金が増加したのかは貸借対照表をみなければわかりません。
売掛金は入金があるまでは、管理をしなければなりません。
入金されないまま、売上先の会社が倒産してしまうと売上代金を
回収することはできません。
損益計算書だけで業績を管理していると、このような点を見逃して
しまうことになります。
モノを売ってしまえば、損益計算書上は「黒字化」できます。
しかし、売上代金を回収できない状況であれば、貸倒損失として
損失が計上されてしまいます。
そうすると、せっかく売上を計上して黒字になっていたのが
一気に赤字になるでしょう。
公認会計士の監査がない中小零細企業では、「売掛金の回収可能性」について、
厳格な基準を設けているわけではないので、まともな運用をしているわけでは
ありません。
回収可能性のない売掛金を計上すると、損益計算書だけよく見せることは
可能ですが、貸借対照表には実態のない売掛金が計上されます。
このような売掛金を多く計上しても会社の経営がよくなることはありません。
売上の代金を回収できなければ、仕入の代金や経費の支払などができないからです。
損益計算書で表現される売上や利益は、このように資金の裏付けが
あるわけではありません。
売上や利益については、最終的にお金となって会社に入ってきているか
どうかを確認する必要があります。
商品を販売しても、最終的にお金を回収しなければなりません。
そのためにも貸借対照表の中身をたえずチェックする必要があります。