枚方市の税理士三木博人です。
「決算書を分析する」ことを「経営分析」と言ったり「財務諸表分析」と言ったりします。
経営分析や財務諸表分析の書籍はたくさんあるので、ポピュラーなものです。
そのような書籍では、決算書の数値を比率にしたり、割り算したりして比率を
出すものが多く紹介されています。
これらの比率や指標を出すことを「決算書を分析する」ことだと考える人も
多いかもしれません。
しかし、流動比率がいくらか、総資産経常利益率がいくらか、などということを
計算して指標にしたところで、会社の経営がよくなるわけではありません。
「分析」といっても、前年の数字と比べる、目標の数字と比べる、ということ
が基本になります。
前年の数字や目標値と比べて増減がある場合に、その増減の説明ができるか
どうか、というのが「分析」になります。
前年と今年を比較する場合に重要になるのが、「前年と今年の会計処理の
ルールが同じである」ということです。
当たり前に思うかもしれませんが、公認会計士の監査がない中小零細企業では
去年と今年で会計処理のルールが変わっている、ということが珍しくありません。
公認会計士の監査という外部のプレッシャーがない中小零細企業で、前年と同じ
ルールを適用する場合には、会社として経営者としてそれなりの覚悟が必要に
なります。
「赤字になりそうだから経費を繰り延べる」というのは、中小零細企業ではよくあること
ですが、これをしている年度としていない年度を比較することはできなくなります。
会計処理のルールを経営者の都合に合わせて変更しても誰も咎めることがないため
経営者自身のマインドにかかっているといってもよいと思います。
毎期の決算処理の方針をを損益状況でコロコロと変えていると去年と今年の
決算数値を比較しても意味がなくなります。
「決算書を分析する」にあたって、中小零細企業では、会計処理のルールを
決めたうえで、それを変更しないようにする、ということから始める必要があります。