会社の場合でも、個人事業者の場合でも、経理で必要な書類の保管が
ルーズだと、どのようなことが起こるでしょうか?
売上については、現金商売でなければ、通帳を見ればある程度わかります。
しかし、仕入や経費については、先方が送ってきた請求書や領収書を
保管しておかなければ、いくら支払ったかわかりません。
特に現金払いの経費などは支払った記録もないため、領収書を
なくしてしまえば、経理処理以前に、支払先とトラブルになった際にも
証拠がない、ということになってしまいます。
銀行からお金をまとめておろして、仕入や経費の支払いに充てて、その領収書を
なくした場合、銀行からお金をおろした記録だけが経理処理されます。
この場合、銀行の預金が減って、現金が増えた(または貸付金や仮払金が増えた)
という処理にします。
実際には、仕入や経費を支払っているのに証拠がないのでそのような処理を
してしまう会計事務所が多いのです。(領収書がないので仕方なくということです)
このような処理が積み重なると、現金残高(または貸付金や仮払金残高)が
多額になります。
そしてさらに、仕入や経費として計上しないため、実態よりもかなり儲かった
という決算になってしまうのです。
このようなルーズな会社は、決算関係の資料を会計事務所に提出するのも
遅いので決算が仕上がるのが、法人税の申告期限ギリギリだったりします。
ギリギリにものすごく儲かった決算で、多額の税金が発生するといわれて
困ったことになります。
顧問税理士に対する不満の中には、「申告期限ギリギリにものすごい税額を
払えと言われた」というものがありますが、実際にはこのような状況の場合も
あるのです。
お金の流れを見えやすくする、何にどれだけお金を使ったかを記録する
というのは、節税以前の作法です。
書類を管理する自信がないのであれば、現金払いをやめるなどの対処もあります。