現在の税制ルールの中では、課税の繰り延べには一定の効果があります。
最初に赤字を計上してそのあとに黒字を計上する場合と
逆に黒字を計上して赤字を計上する場合では扱いが異なります。
赤字を先行するほうが有利になります。
(詳細は前回をご参照ください)
では、課税の繰り延べになる節税手法にはどのようなものがあるでしょうか?
課税の繰り延べになる節税手法は、
①当期に経費の支払いを行う
②翌期以降に支払った経費が戻ってくる
という手続きをこることが多いです。
例えば、
利益が多額に出そうな当期に保険に加入します。
保険料は年払い(1年分の保険料を一括で支払うこと)できるので
多額の経費を計上することができます。
(以上が上記①の手順に該当します)
ただし、保険の契約によっては全額を経費にできる場合とできない場合が
ありますので注意が必要です。
翌期以降で、保険金が入ります。
解約をしたら「解約返戻金(かいやくへんれいきんと読みます)」が入ります。
満期になったら「満期返戻金」が入ります。
これらの収入に対して税金がかけられます。
解約した場合は、解約のタイミングによっては支払った保険料分よりも
少ない金額しか戻ってこない可能性があります。
保険を例にして課税の繰り延べということをみてみました。
実際には、解約返戻金などが入ってくる期には、多額の利益が計上されるため
今度はその期の節税対策をしなければならなくなります。
この場合よくあるのが、解約返戻金が入るタイミングで代表取締役が退任して
役員退職金を払うというものです。
保険に入る際に、退職金の積立目的を想定するケースも多いです。
代表取締役が引退するタイミングなどは、社内で決定できるものなので
実行できる可能性が高いです。
また、退職金は、払った方が費用にできるし、(適正額であればの話ですが)
もらった方は所得税の計算ではかなり優遇されるのでメリットは大きいです。