課税の繰り延べになる節税手法は、
①当期に経費の支払いを行う
②翌期以降に支払った経費が戻ってくる
という手続きが基本になります。
節税の手法にはいろいろありますが、
耐用年数が短い資産を購入する(上記手順の①に該当します)
その資産をのちに売却する(上記②に該当します)
という方法をとるものがあります。
具体的には、
中古の高級外車を購入する
ヘリコプターを購入する
コンテナリース事業を行う
などが考えられます。
この節税手法は、日々新たな手法が開発されており、様々なバリエーションがあります。
個々のスキームについて詳細を説明するのではなく、どのような原理で
節税となっているのかをみてます。
耐用年数の短い資産は、購入後たくさんの減価償却費を計上することができます。
よく知られる例ですが、4年落ちの高級外車を購入すると耐用年数が2年となります。
購入価格500万円の車を耐用年数2年の資産を減価償却すると次のようになります。
500万円×1.00(耐用年数2年の定率法償却率)=500万円(※)
(※)本当は備忘価額1円を残すので4,999,999円となります。
備忘価額とは、0円では記録できないので、モノとして存在するのであれば最低1円の
金額を付けて記録しておくことです。
しかし、購入して実際に使用し始めたときからその会社の事業年度末までの月数で
上記金額を按分します。
事業年度開始の月に使用を開始すれば全額が費用にできますが、事業年度末の
月であれば1/12した金額が減価償却費となります。
その場合でも翌事業年度に残りの11/12部分が減価償却費に計上できます。
そしてその後、この車を400万円で売却したとしたら、400万円-1円=約400万円
の売却益が出ます。
この売却益に対して税金がかけられます。
結局、購入時に費用をたくさん計上して節税できますが、売却時には売却益が出る
ので税金がかかることになります。
この場合の購入価格500万円と売却価格400万円との差額100万円は、経年による
価値の減少です。使用によって価値が下がる部分です。
このような方法は、耐用年数が実際の使用可能期間と比べて短くて、
中古品の流通量が多い(買う場合も売る場合も有利になります)場合に有効です。
しかし、節税できる金額は、購入価格の3割から4割程度になりますので
節税できる金額よりもはるかに大きな金額の支出を伴います。
その資産を売却することによって資金の回収を行いますが、「確実に」それが
できる保証はありません。
そのようなリスクを承知したうえで行う手段であると考えられます。
さらに重要なのは、目先の税負担軽減で頭がいっぱいでその後のことを
考えられない状況にならないようにすることと、この手の節税スキームは
セールストークにしやすい(何かの購入を前提としている点)ことを
考慮しておくということです。