「節税のために会社を設立する」という行為は特に目新しくありません。
「日本の会社の70%は赤字である」ということを聞いたことがある方も
いらっしゃると思いますが、そもそも節税目的で会社を設立することが
多いです。
この場合、会社に利益を残さず役員報酬という形でとってしまいます。
会社を作るのが節税になるということを改めてみてみます。
個人で事業を行う場合、事業でのもうけ(所得)は、その個人に帰属します。
事業所得について青色申告をしていれば、「青色事業専従者給与」というのを
身内に対して支給することができます。
青色事業専従者給与の支給を行うことで、ある程度の所得の分散は可能です。
しかし、分散後の所得については、前回みたような税率で税金をかけられます。
5%から40%の税率となっていますが、平成27年からは4,000万円を超える部分
については40%ではなく45%の税率が適用されることになります。
ここに住民税の税率10%がプラスされます。
最高税率は55%ということになります。
さらに、個人事業者については、290万円を超える所得について
税率5%(業種により異なります)事業税が課税されます。
例えば800万円所得があれば、
(800万円-290万円)×5%=25.5万円
となります。
一方の会社であれば、法人税、住民税、事業税の税率の算出方法は
(法人税率×(1+住民税率)+事業税率+事業税標準税率×地方法人特別税率)/
(1+事業税率+事業税標準税率×地方法人特別税率)
という実に複雑な算式で導かれます。
事業税率と事業税の標準税率の違いなどややこしい点は割愛します。
この算式で法人税、住民税、事業税の税率を算出すると
400万円以下の所得・・・23%前後
400万円超800万円以下の所得・・・24.5%前後
800万円超の所得・・・38.5%前後
※都道府県や市町村によって税率が少し違う場合があります。
単純に個人で所得税+住民税で55%の税率が適用されるのであれば
法人で利益を計上して、法人で税金を払ったら低い税率を使うことが
できます。
個人で事業所得や不動産所得を計上すると、上述のように事業税がかかります。
会社で稼いで、個人に税金を支払ったら個人には事業税がかかりません。
その部分も5%分トクすることになります。
さらに、会社で稼いだ分を給料でもらうと、会社が払った給料は経費に
することができます。
さらに、給料をもらった人は、「給与所得控除」という控除額をさらに
差し引いた金額に対して所得税をかけられます。
会社と個人とで言えば、給料と給与所得控除とを二重で差し引くことができる
点もメリットになります。
ただし、給与所得控除の金額については、徐々に縮小されています。
また、近年の税制改正では、法人については税率の引き下げが行われています。
さらに税率の引き下げを検討しているという報道もあります。
しかし、個人の高額所得部分についてはそうではありません。
最高税率の引き上げで増税となることが決定されています。
たくさんの所得を稼ぐのであれば、個人事業よりも法人のほうが
有利になる点が多いです。
法人成りした場合のシミュレーションはこちらです。