自営業の人の収入はサラリーマンと違って、「税引前」の金額なのです。
ここでいう自営業とは、個人事業主、法人の別を問わず、サラリーマンでない
人のことをいいます。
サラリーマンは、所得税、住民税、社会保険料などをすべて差し引かれた
かたちで給料をもらいます。
サラリーマンよりも収入が多いと感じたとしても、そこから税金や
社会保険料を自分で支払うのです。
最初に差し引きかれる場合と後から自分で支払う場合では
心理的にもまったく異なります。
サラリーマンの場合は、手元のお金をすべて処分対象としてもよいのです。
すべての手元のお金から使う分や貯金する分などに配分すればよいのです。
しかし、自営業の場合はそのように考えるわけにはいきません。
税金や社会保険料などは後払いになるからです。
また、ボーナスや退職金なども自分で用意しなければなりません。
さらに、得意先が倒産した場合などに備えて個人資産を「いざというとき用」
に備えておく必要もあるでしょう。
本来はこれらの支出も含めてお金の使い方を検討しなければならないの
ですが、それができないことが多いのです。
「利益が出ているのにお金がない」という状況はよくありますが、
税金などの支払いまで考慮したお金の使い方ができていないことが
原因であるかもしれません。
見た目の収入がサラリーマンよりもたくさんあるからといって調子に乗って
使いすぎているとお金はなくなります。
この状況で小手先の節税対策などを行っても効果はほとんどありません。
(むしろ、資金的には苦しくなることがほとんどです。)
自営業の場合は、何に対していくらお金を使うかをすべて自分で決めることが
できますが、税金や社会保険料などのコストをあらかじめ織り込んで、支出の
判断をしなければなりません。